法人 リストの成立

構成員課税この点について法は沈黙していますが、LLP法法案と同時に国会に提出された税制改正法案において、LLPへの課税を行う旨の特段の規定が盛り込まれなかったことから、LLPは構成員課税とされることが明らかとなりました。 以下、法の規定を引用しながら、日本版LLPの内容について具体的に解説していきます。
LLPの定義および法人格「有限責任事業組合(LLP)」とは、「個人または法人が出資して、それぞれの出資の価額を責任の限度として共同で営利を目的とする事業を営むことを約束し、各当事者がそれぞれの出資に係る払込みまたは給付の全部を履行することによってその効力を生ずる契約(有限責任事業組合契約。 以下、「LLP契約」といいます)によって成立する組合」と定義されています(法2条、3条1項)。

この定義によって、LLP契約の本質は、各組合員が出資の全部を履行すること共同で営利事業を営むことを約束することであることが示されています。 また、組合員の責任の限度が出資の価額であることもLLPの本質であることがわかります。
なお、日本版LLPは、英国のLLPや日本の株式会社等の会社と異なり、法人格を付与された存在ではありません。 LLPは法人格がないために法人税課税を受けずに済むわけですが、他方で、法人格がないことによって契約の締結や財産の所有ができないのではないかと心配されるかもしれません。
しかし、現在でも、建設共同企業体(JV)や映画製作委員会のように、法人格を持たない民法上の組合が事業を行っている例があることに照らしても、法人格がなくても事業活動に大きな支障はないと考えられます。 LLPは、民法上の組合と同様に、組合員の肩書き付き名義で契約することができますし、組合員の共有(合有)財産として組合財産を所有することもできます。
後で述べるように組合財産の安定性を高めるための安全措置も講じられていますので、法人格はなくても一般の事業体として十分に活用することができると考えられます。 (1)LLP契約の締結・出資LLPの設立LLPの設立とは、LLP契約を締結しその効力を生じさせることを意味します。
LLP契約の当事者がLLPの組合員になります。 LLPで事業を行うためには、次のステップを踏むことが必要です。

組合員となる者が、LLP契約を締結する。 契約に記載した出資を行う。
LLPの事務所の所在地を管轄する法務局においてLLP契約の登記をする。 組合員間では、とを完了して契約の効力発生日が到来するとLLP契約が効力を発生しますが、組合員の有限責任等を第三者に対抗するためには、の登記を備える必要があります。
なお、LLPが従業員を雇用する場合には労働基準監督署への届出が必要になるなど、諸官庁への届出が別途必要になる場合もあります。 以上のステップをもう少し詳しくみてみましょう。
LLP契約の効力を発生させるには、まず、組合員となる者が、法定の要件を備えたLLP契約を締結し、契約書を作成します。 次に、当事者全員が、LLP契約の規定に従って各人の出資の義務をすべて履行します(法2条、3条1項)。
出資金は全額払い込み、現物出資(金銭以外の出資)であれば、その全部の給付をします。 以上がすべて完了し、LLP契約で定めた契約の効力発生日が到来すると、LLP契約の効力が生じて、この段階でLLPが成立することになります。
会社設立の場合、公証人による定款認証の手続が必要ですが、LLP契約についてはそのような手続はありませんし、経済産業省の認定や許認可も必要ありません。 出資の義務をすべて履行しない限りLLP契約が効力を発生しないというのは、重要なポイントです。
これは、LLPが有限責任制をとっていることから、LLPの財政的基盤を充実させて取引の相手方を保護するために設けられた規定の1つです。 (2)登記LLP契約が成立すると、LLPの各事務所の所在地において、契約中の一定の事項を登記する必要があります(法57条)。
LLPの登記制度は、取引安全保護の見地から設けられた制度です。 LLPと取引関係に入ってくる第三者が、自分の取引相手が有限責任であることを予見できるように、公示制度として商業登記を要求したのです。
株式会社や有限会社と異なり、登記はLLPの成立要件ではありません。 しかし、取引の安全を図るために、登記が必要な事項については、登記の後でなければ、事情を知らない第三者(善意の第三者)に対して主張することができないとされています(法8条1項)。

事情を知っている第三者(悪意の第三者)に対しては、仮に登記前であっても対抗することができます。 悪意というためにはどの程度知っている必要があるかは、個別の事情に応じて判断する必要がありますが、「ABC有限責任事業組合」という名称を使用して取引を行えば、この取引の相手方は、たとえLLP法の規定について知らなくても、組合員が有限責任しか負わないことについて悪意であると考えて差し支えないでしょう。
LLPについては、その名称の中に「有限責任事業組合」という文字を使用することが義務付けられており、反対に、LLPでなければ組織名称の中で「有限責任事業組合」という文字を使うことはできないからです(法7条)。 登記を必要とする事項について、故意または過失により不実の登記をした者は、その事実が不実であるということについて善意の第三者に対抗することができません(法8条2項)。
これは、LLPの登記の外観を信じた第三者を保護する制度で、やはり取引の安全のために設けられた規定です。 登記には期限が定められています。
LLP契約が効力を生じてから2週間以内(従たる事務所の所在地においては3週間以内)に登記をすることが必要で、登記を怠ると罰則(100万円以下の過料)の適用もありますから、注意が必要です(法57条、75条1号)。 LLPの設立の方法とLLP契約の登記については後に詳しく述べます。
なお、最初の登記の後に新しく事務所を設置した場合、事務所が移転した場合、登記した契約事項が変更になった場合には、その都度、登記する必要があります(法58条から60条)。 (3)民法上の組合からLLPへの移行LLP法の施行後、これまで民法上の組合として事業を行ってきた事業体が、組合員、組合財産、取引関係等を引き継ぎながら、LLPに組織変更したいという要望があると思われます。
このような組織変更について、LLP法には規定が設けられていません。 民法上の組合とLLPでは根拠法が異なりますので、まず民法上の組合を解散し、新たにLLP契約を締結する必要があると考えられます。
具体的には、現在の組合員全員の同意を得て新たにLLP契約を締結し、出資を実行し、LLP契約の効力が発生した後に登記をする必要があります。 もっとも、民法上の組合の財産を清算して各組合員に返還し、あらためてLLPに出資する必要はありません。
民法上の組合が保有していた金銭その他の財産は、全組合員の共有財産ですので(民法668条)、これを全組合員共同で新たに設立するLLPに出資することにより、民法上の組合の財産をLLPに引き継ぐことができると考えられます。

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